日本秘湯を守る会会員
創業(江戸末期)150年以上の歴史
囲碁旅館 (新布石発祥の地)
「猿とともに生きる人里離れた孤高の宿」地獄谷温泉は車では来られない、歩いて赴く人里離れた孤高の宿です。山一帯では多種多様の野生動物が息づく。ここでは彼らこそが主人公なのです。この宿で気ままな彼らにひょっこり出会えるかどうかは運次第。秘湯中の秘湯にゆるりとつかり、戯れる野生を傍観する。そしてこの地は囲碁の新布石発祥地。自然の音につつまれて囲碁を打つのも乙なもの。偉大な先達に思いを馳せる。
地獄谷温泉の歴史は後楽館の歴史である。
江戸末期1864年(元治元年)、初代当主竹節万蔵が現在の後楽館(当時は明治楼と呼ばれる)を始める。あちこちでゴーゴーとまるで地獄の底から吹き上げる噴泉の音が鳴り響くことから、地獄谷と名付けられた。今は地獄谷の大噴泉一つしかないが、当時は鬼地獄、油地獄、小便地獄などと言われた噴泉が数多くあった。上林へ温泉を引湯するようになってから、自然に数が減っていき今の大噴泉だけになった。(「山ノ内町誌」より)
1911年(明治44年)頃、たび重なる洪水のため対岸の現在の場所に建物を移す。現在の後楽館である。後楽館は創業以来、初代、二代、三代は男性当主であった。四代、五代、六代は女性当主であった。七代目である現在の当主は、三代目(1873年)以来の男性当主である。
1884年(明治17年)頃から地獄谷の温泉ちまきを作り始める。
1929年(昭和4年)、秩父宮御夫妻が岩菅山登山にお見えになられた折、ちまきを献上し、お喜び頂く。
1958年(昭和33年)、俳人富田うしほ氏の句「峡宿の粽にこもる湯の香かな」を刻んだ「ちまき」の句碑完成。
地獄谷のちまきは山ノ内町の民話になっている。
地獄谷温泉後楽館の露天風呂は、世界で最初に猿が温泉に入ったお風呂である。
1964年開苑の地獄谷野猿公苑は有名だが温泉に入る猿の歴史はもっと古い。
1901年、後楽館3代目当主の妻が、「朝起きると猿が川の近くの湯溜まりの辺りから山へ帰って行くのを見る。あれは湯に入っていたのか、どうなのだろう」とよく言っていた。
1957年、後楽館5代目当主である春枝は当時、スキー場開発で山を追いやられた猿が里では害になっていた事、冬に餌のない猿がかわいそうな事、夫の戦死により貧乏であった事、祖母・しかがよく言っていた猿の話から、4代目・母とみの死後(とみは猿が嫌いだったので)、千葉県から落花生を取寄せるなど、猿の餌付けを山奥の後楽館で本格的に試みていた。しかし上手くいかず、翌年、京都大学霊長類研究グループの伊谷純一郎教授に猿についての手紙を書く。すると里で害に合う物(りんご)を使うようにという返事を頂き、後に、研究員・和田一雄氏を派遣してくださり、ついに餌付けに成功した。数年後の1961年の秋、足の悪い船員さんが後楽館に1か月程滞在し、毎日露天風呂の周りにいる猿を風呂に誘っていた。お客様が帰られた翌日、大事件が起こった。6代目・喜久子が投げたりんごが露天風呂に転がり、それを見ていた子供の猿が静かにりんごを追いかけて露天風呂に入ったのである。猿が温泉に入る瞬間であった。そしていつの間にか猿達は後楽館の露天風呂に次々と入るようになった。その後、当時時々後楽館に来ていた原壮悟氏(長野電鉄の社員)から強く望まれ、1964年に長野電鉄が地獄谷野猿公苑を設立した。今日、スノーモンキーとして外国人でにぎわっているようである。
地獄谷温泉は囲碁界の聖地でもある。1929年、美春(5代目春枝の姉)、たまたま地獄谷温泉を訪問した囲碁棋士の「怪童丸」木谷實に出会った。1930年冬、深い雪の中ブリを土産に再訪した木谷は、美春に求婚して1931年に東京で挙式した。實は全国各地を巡業しては天才少年を自宅に招き、美春と家族として育てた。これが後に木谷道場と呼ばれたのである。美春は弟子達から「お母様」と呼ばれ深い愛情で皆を包み、囲碁界に送り出した。
1933年夏、木谷は中国出身の天才棋士・呉清源と共に、地獄谷温泉後楽館にこもり、「新布石」の研究開発を行った。2人は連戦連勝し、新布石は一世を風靡した。地獄谷温泉は「新布石発祥の地」として囲碁界の歴史に残った。2003年10月12日、両先生方の功績を称え、後楽館の庭に呉清源先生の署名と共に石碑が建立された。新布石の間は今もそのまま存在し、宿泊する事が出来る。
長野朝日放送
ダイワハウススペシャル
ネイチャー&ヒューマンスペシャル シリーズ10
「雪猿」〜生命の森・志賀高原・秘湯を守る女将〜
2021年 ギャラクシー賞(奨励賞) 他を受賞しました。
2020年のコロナ禍の1年間を取材しました。
オランダの写真家。
2013年版ナショナルジオグラフィック(雑誌)に掲載されました。
2016年版にも掲載されています。
長年にわたって当館をご利用いただいております。
スマホ猿を撮影したオランダの写真家。
2014年に撮影されたものです。
毎冬、ツアーで当館をご利用くださいました。
http://www.squiver.com/blog/new-soul-asylum-album-will-feature-snow-monkey-with-iphone/
アメリカのPBSテレビ局。
四季を通じて地獄谷温泉の猿を撮影するため、当館をご利用くださいました。
http://www.pbs.org/wnet/nature/snow-monkeys-snow-monkeys/8736/
住所 | 〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町大字平隠6818 |
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TEL | 0269-33-4376 |
FAX | 0269-33-3244(ただいまFAXの受付はできません。) |
※どちらのルートも街灯がないので、夕方以降はライトが必要です。明るいうちにお越しくださるようにお勧めしております。
※下記の2つのルート動画は春〜秋の状態になります。冬は雪深く状況が一転しますことをご承知おきください。